バスケW杯で課題が露呈。日本は世界の戦術のトレンドに追いつけるか (2ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文 text by Konagayoshi Yoko
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka Kenzaburo

 経験値やフィジカルコンタクトの差は、世界大会でしか最高峰レベルを体感できないため、間隔が空いてしまうと、どうしてもその感覚を忘れてしまう。この問題は、世界を体感した者が国内の選手に伝え、また、その差を埋めるために海外に出て揉まれ、そして世界大会に出続けることで継承していくしかない。ラマスHCはフィジカルの弱さを一番の敗因に挙げていたが、「それでもこの2年間のトレーニングによって、フィジカルの問題を解消しようとしているし、サイズアップを図り、若手を底上げしている。まだ時間はかかるけれど強化は進んでいる」と話し、1次予選では結果は出なかったが、間違いなく成長していることを強調した。

 ただ、今大会は経験値のなさや、フィジカルコンタクトだけが敗因ではなく、組織的なチームプレーの精度で負けていることが目につく。「日本は個の力がないから組織的に戦う」とは、昔から日本代表を率いる指揮官が必ず言うセリフだ。

 しかし、組織的に戦っているのは日本ではなく相手のほうだった。その証拠に1次ラウンドでは3ポイントの試投数がダントツの最下位(一試合平均17.3本)、成功数は30位(一試合平均5.3本)。ノーマークでシュートチャンスを作り出す動きが作れないのだ。

 ワールドカップ前の強化試合でも、ニュージーランドやアルゼンチン、ドイツなどは、現在の世界の主流といえる連動したボールムーブメントからのワイドオープンの3ポイントを幾度も決めていた。

 逆に日本は3ポイントを打つ展開を作れなかった。本来ならば、体格で劣る日本がチームプレーで対抗しなければならないのに、日本よりも経験値がある国が、組織の面でも圧倒する。日本は八村の個人技がつぶされたら次の展開が生み出せず、強化試合で試したセカンドユニットの出番までには至らなかった。

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