W杯の洗礼を浴びた日本がやるべきこと。八村塁「世界の強さを感じた」 (3ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文 text by Konagayoshi Yoko
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka kenzaburo

 後半になると日本は、シューターで代表初選出の安藤周人(SG/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)を入れて挽回を狙う。しかし安藤は緊張からか、持ち前の運動量でかき回すには至らず、コーナーに立つだけで流れを作ることはできなかった。司令塔のポジションでは篠山に変わった田中が停滞したムードを何度かこじ開け、ニック・ファジーカス(C)もインサイドでやられた分、外角シュートで奮闘。さらに、渡邊雄太(SF/メンフィス グリズリーズ)が八村に対して合わせる動きを見せることはできた。しかし、それだけでは1Qで取られた点差を縮めることはできなかった。

 最も残念だったのは試合の終わり方だ。準々決勝まではリーグ戦なだけに、もし、同グループ内でアメリカが3勝し、日本とトルコとチェコが1勝3敗で並んだ場合は、当該チームの得失点差によって順位が決まる。それを考えれば、終了のブザーが鳴るまで得点を取りにいき、守らなければならないが、そうした果敢な姿勢を見せていたのは勝っていたトルコのほうだった。1点でも多く得点が欲しいばかりか、与えてはいけない日本のほうが流してしまった。そうした、一つひとつの局面を緻密に運ばなければならないところに経験のなさが現れてしまったのだ。これも、世界大会に出続けていなければわからない壁なのだろう。

 世界大会の洗礼を浴び、これで目が覚めた日本。試合後の八村は全身全霊で悔しさを露わにして固い決意を見せた。

「初めてのワールドカップを戦ってみて、世界の強さを感じた。自分もチームも100%の力でできなかった。チェコ戦は切り替えてしっかりやりたい。直せるところはすぐに直す」

 いまやるべきことは、試合を通して日本の形を作っていくことだ。ワールドカップで強度のあるディフェンスを経験しながら、日本のバスケの形を作って成長していく段階であることは見てのとおりだ。

 ならば、「トルコのスイッチディフェンスに対して、アウトサイドの選手がドライブをするのか、インサイドの選手がポジションを取ってボールを託すのか、そこの判断で意思統一を図ること」(篠山)を、次戦のチェコ戦で徹底することが最優先だ。

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