W杯の洗礼を浴びた日本がやるべきこと。八村塁「世界の強さを感じた」 (2ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文 text by Konagayoshi Yoko
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka kenzaburo

 とくにトルコが策を講じてきたのは、日本の得点源である八村塁(SF/ワシントン ウィザーズ)への対策だった。実は八村は、中国入りしてから体調を崩していた。試合前の2日間は微熱ではあるが、発熱していたことが試合当日に明かされ、当日朝の練習を回避している。試合ができないほどのコンディションの悪さではなかったが、「塁がトルコの対策練習に参加できなかったことは残念。ここで準備ができれば変わっていた。でも、こういう状況でも彼は努力をしてくれた」とラマスHCは語っている。

 その体調の悪さを差し引いても、序盤の八村はまったくボールを持たせてもらえなかった。

 大会前の強化試合での突出した得点力を見れば、八村封じに来るのは当然のことだ。八村にはNBAでのキャリアが豊富でリーチが長いアーサン・イリヤソヴァが執拗なディナイディフェンスで守り、ときには2人、3人がかりで襲い掛かってきた。

 日本はこれまで八村がミドルレンジのジャンプシュートを確実に決めることで、チームメイトたちにメンタル面での安心感をもたらしていた。しかし、エースが封じられてしまうことで、自分たちのリズムが作れずに苦しんだ。また、八村がボールを受け取れる態勢になった時には、ガード側がパスをする判断に欠けていた場面も多々あった。

 ただ、まったく打開できなかったわけではない。八村へのマークが厳しかったことで、逆にこれまでの強化試合では入っていなかった3ポイントが、前半だけで9本中6本(67%)の高確率で決まったことや、前半終了間際には、八村の豪快なダンクが飛び出すなど、ディフェンスの強度に慣れれば慣れるほど、八村は頼りになるエースの姿を思い出していった。

 日本は、1Qで6つものターンオーバーを犯しながら、前半は12点のビハインドで済んだことで、まだ挽回できるチャンスはあった。

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