八村塁ら最強日本が挑むバスケW杯。強豪国にも「勝負」できる形はある (4ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 ただ、本番前に相手が手の内を全部見せたわけではなく、日本としても完成した強さを発揮したわけでもない。選手たちからも「ドイツのような強豪国に勝てたことは自信になるが、強化試合なので相手が何パーセントの力を出したかはわからず、勝ったからといって調子に乗ってはいけない」との声が出ていたが、八村のメンタリティだけは違った。

「僕らも100%の力を出したかといえばそうじゃないし、もっと修正できるところはある。強化試合だって勝ちは勝ち。これを自信につなげてチャレンジしたい」

 八村はこうして、ビッグゲームを一つひとつモノにしていくことで、アメリカの地でメンタルの強さと自信を積み重ねてきたのだろう。今までの日本に足りなかった自信とチャレンジ精神を21歳の若者がもたらしている。ドラフト指名を受けたNBA選手の誕生とともに、日本バスケ界は新しい時代に突入しているといっていいだろう。

 ヨーロッパ勢に1勝が、現実的な目標であることに変わりはない。ただ、今までなら強豪国に対して勝負にならなかったのが、相手のフィールドゴールの確率、とくに3ポイントを抑えることで勝負できる形は見えてきた。加えて、八村が休む時間帯でセカンドユニットをどのように起用するかは采配の見せどころだ。八村が言うように、チャレンジすることでしか新しい歴史は切り拓けない。限界に挑むW杯は9月1日、トルコ戦からスタートする。

◆1次ラウンド試合スケジュール(日本時間)
9月1日 17:30 対トルコ
9月3日 17:30 対チェコ
9月5日 21:30 対アメリカ

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