八村塁ら最強日本が挑むバスケW杯。強豪国にも「勝負」できる形はある (3ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 しかし、現在地に立ち止まっているつもりはない。急激な成長を遂げている日本は、限界を出し切るチャレンジに挑み、前に進もうとしている。キャプテンの篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)は「世界を驚かせたい」と言い、渡邊は「今、日本のバスケ界は大きく変わろうとしている。このW杯は日本のバスケ界がもっと大きく前進していく大切な戦い」と覚悟を決めて臨む。

 実際、日本は試合を重ねるごとに進歩している。強化試合の5試合の平均得点は88.2で、平均失点は92.4だった。90点以上の失点では世界で勝てないが、世界大会で平均80点以上のスコアを叩き出す日本代表はこれまで見たことがない。

 今回は、八村とファジーカスの得点力を生かすことが最優先で、特に強化試合の3戦までは八村の得点力に頼っていた。だが、大量失点をしていては国際舞台で戦うことはできないと、ディフェンスに修正を加えて活路を見出したのが、86-83で金星をあげた4戦目のドイツ戦だった。

 この試合から、負傷が癒えた渡邊が完全復帰したことも大きな要素となり、ディフェンスのローテーションが改善されつつあった。

 ドイツに勝利したことで、5戦目のチュニジアには新しい試みもできた。八村をロスターから外すことで、エース抜きの試合を経験させたのだ。追う展開になった後半にもっとも機能したのが、安藤誓哉、田中大貴、馬場雄大、竹内譲次らBリーグで2連覇中のアルバルク東京勢に加え、竹内公輔(宇都宮ブレックス)の5人で戦った時間帯だ。それぞれの動きを熟知しているボールシェアと連動するディフェンスローテーションによってリズムが生まれ、速攻も何本か出た。八村抜きの試合でセカンドユニットが機能したことで、オプションが増えたことは好材料だ。

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