NBAのスカウトに聞いた「八村塁が活躍するために必要なこと」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 試合後、サマーリーグでウィザーズのHCを務めたロバート・パックは、目を細めて次のように語った。

「彼はインサイドでもアウトサイドでも異なるポジションをプレーでき、アイソレーション(得点能力に優れた選手が1on1をしやすくするための戦術)もできる。エルボー(フリースローラインのどちらかの端)からでもプレーできるし、ドライブもできる。彼に何ができるかのアイディアを得るため、いろいろなことをやっているのを見たかったが、今日の彼はさまざまな位置から得点してくれた」

 実際に、ホークス戦後半の八村の働きはインパクトが大きかった。NBA の舞台において、八村がロングシュートを安定して決めることの重要さをわかりやすい形で示したと言える。

 NBAの本シーズンでは相手ディフェンスもより厳しくなり、それに対する適応が必要になるが、求められる部分は基本的には変わらない。今後も及第点の精度で3ポイントシュートを決められれば、相手ディフェンス陣のマークを分散させることができる。

 そうなれば、ホークス戦で見せたような高得点も可能。逆にロングシュートがなかなか決まらずに苦しむようなことがあると、攻撃の選択肢が減り、サマーリーグ最初の2戦のように"消えている"時間帯が長くなるかもしれない。

 それらを実践で確認できたことは価値が大きい。今後のトレーニングの指針も明確になるだろう。いずれにせよ、サマーリーグの舞台が、NBA本格デビュー前の八村に収穫をもたらしたことは間違いない。

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