Bリーグのスターに洗礼。馬場&比江島さえもNBAへの道は険しい (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 洗礼――。

 NBAレベルのなかで痛感するさまざまな差異について、馬場は幾度かその言葉を用いた。

 アルバルク東京の元ヘッドコーチ(HC)で、昨季からマーベリックスのGリーグチーム、テキサス・レジェンズでコーチを務める伊藤拓摩氏は、「同じバスケットボールという競技をしているにせよ、日米の間には数多くの違いがある」と強調した。

 日本のシステムのなかでプレーしてきた馬場にとって、サマーリーグの環境で順応せねばならないことは、彼が思っていた以上にあったことだろう。

 しかし、メディアに話す馬場の口ぶりは常に明るく、前向きだった。たとえ出場時間が減らされ、無得点に終わろうとも。高校の時から憧れていたNBAへの挑戦に、心が踊っているかのようだった。

「リングにアタックするところ、スピードでアタックするところは、全然ひけを取らないと思っています」

「やれる」という手応えもあったのだろう、馬場は歯切れよく、そう話した。

 ただ、こうも漏らした。「もう少し、ボールがもらえれば」と。たしかに、見ているこちらも歯がゆくなるほど、馬場にボールは来ない。

 しかし、そんな状況ですら、馬場は享受しているようだった。

「ボールは回ってこなくても、ディフェンスはがんばれると思っています。リバウンドも。そこから、次の展開が生まれてくると思います」

 たとえ得点できなくても、他のプレーで勝負すればいい。日本では身体能力を生かし、屈指のオールラウンダーとして活躍してきた。アルバルクというディフェンス主体のチームで修練してきたことも、あるいは大きいのかもしれない。

 苦戦したキングス戦後、24歳の若者はけっして強がりではなく、こう続けた。

「次、もう一回、ディフェンスから、リバウンドから。泥臭いところからがんばって、オフェンスでチャンスをもらって、信頼を得られるようにやるのみです」

 13日に行なわれたサマーリーグのプレーオフ1回戦。チームは敗れ、出場のなかった馬場のサマーリーグは終わった。馬場は5試合中、4試合でコートに立ち、計16得点・9リバウンドを記録。数字だけを見ると、とりわけ際立ったものではない。それでも、スタッツ以上の印象は残した。

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