同僚から総スカンを食らって放出された
NBAの悪童が、ついに覚醒!

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 今シーズンのMIP(最成長選手賞)候補は粒ぞろいだ。

 昨季の平均7.3得点から今季は平均16.8得点まで向上させたパスカル・シアカム(トロント・ラプターズ/PF)や、成績が下がりがちな2年目のジンクスを跳ね返して平均得点17.5得点(昨季11.6得点)・平均7.3アシスト(昨季4.4アシスト)をマークしているディアロン・フォックス(サクラメント・キングス/PG)などがMIP有力候補と言われている。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

ブルックリン・ネッツでついに才能を開花させたディアンジェロ・ラッセルブルックリン・ネッツでついに才能を開花させたディアンジェロ・ラッセル しかし、「もっとも成長した」というフレーズが似合うのは、やはりこの男だろう。平均21.0得点(昨季15.5得点)・平均7.0アシスト(昨季5.2アシスト)の好成績を記録し、リーグ4年目にしてオールスター初出場を果たしたディアンジェロ・ラッセル(ブルックリン・ネッツ/PG)だ。

 現在23歳のラッセルは、プロ入り前から将来を嘱望されるプレーヤーだった。

 モントヴェルデ・アカデミー高校時代は、ベン・シモンズ(フィラデルフィア・76ers/PG)とともに2年連続で同校を全米王者に導き、オハイオ州立大学では1年生ながら平均19.3得点・5.7リバウンド・5.0アシストを記録。それら堂々たる成績を引っ提げて、2015年のNBAドラフトにアーリーエントリーした。

 高いシュート力と広い視野を持ち、身体能力に頼らないタイミングとリズムでディフェンスを抜き去る独特のスキルを合わせ持つ。PGとSGの両方をこなす左利きのコンボガードは、カール=アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ/C)に次ぐドラフト1巡目全体2位でロサンゼルス・レイカーズに指名された。

 2015-2016シーズン、注目のルーキーイヤー。ラッセルは平均13.2得点・3.3アシストというまずまずの成績を残し、オール・ルーキーチーム・セカンドチームに選出される。

 しかしチームやファンは、"まずまず"の成績では納得しなかった。なぜならば、ラッセルのデビューイヤーは、「コービー・ブライアント(SG)のラストイヤー」となったメモリアル年。ラッセルが期待されたのは、「コービーの後継者」になることだったからだ。

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