W杯でドリームチーム結成へ。渡邊雄太は日本代表に合流できるのか (2ページ目)

  • 大島和人●取材・文 text by Oshima Kazuto
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka Kenzaburo

 彼は昨年9月13日のカザフスタン戦、9月17日のイラン戦に参加している。カザフスタン戦は17得点、イラン戦は18得点と悪くない数字も残した。イラン戦は試合の途中から相手の得点源となっていたベヘナム・ヤハチャリのマークにつき、きっちり封殺する数字に出ない守備での貢献もしている。相手のポジションを問わずスイッチして対応できる、小柄な選手も足を使って守れることは、大きな強みだ。

 ただ、カザフスタン戦後の渡邊は「個人的に今日の出来は最悪だったと思っている」と反省を口にしていた。イラン戦後も「皆さんはもっと僕のことを期待して見ていたと思うんですけど、そのとおりの活躍ができなくて本当にすいませんでした」とファンに詫びていた。

 謙虚な性格もあるにせよ、これは間違いなく彼の本音だ。渡邊は攻守両面で周りのよさを引き出せるロールプレーヤーだが、9月の彼は良くも悪くも主役を張っていた。そんな様子を見た専門家からは「力んでいた」「いきすぎていた」という指摘も聞こえてきた。卓越した能力、本来のプレースタイルを知っているがゆえの低評価である。

 渡邊は18年春にジョージワシントン大学を卒業。6月のNBAドラフトでは指名を受けられなかったが、7月のサマーリーグに出場して契約獲得を目指した。そこでのアピールが奏功してメンフィス・グリズリーズとの契約を勝ち取ったが、トップの試合へ出場するためには戦術への適応が必須となる。そして、チームスポーツならば、連携の構築に時間がかかる。

 バスケットのW杯予選の「ホーム&アウェー化」は図られたのが今大会からだが、NBAやNCAAは予選を配慮した試合日程を組んでいないため、アメリカ組が合流できるのはオフ期間に限られる。八村は6月30日のオーストラリア戦、7月2日の台湾戦に参加したが、渡邊はNBAを優先してその2試合も欠場した。

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