レブロンとレイカーズの誤算。不協和音が響きプレーオフ進出が絶望的 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Image

 実際に今季のレイカーズは前評判を上回るほどの好スタートを切り、昨年12月25日に昨季王者ゴールデンステイト・ウォリアーズを下した時点で20勝14敗。もともとプレーメイカーの役割を好むレブロンは、ブランドン・イングラム、ロンゾ・ボール、カイル・クーズマ、ジョシュ・ハートといった20代前半の主力選手たちと楽しそうにプレーしているように見えた。ところが――。

 クリスマスに行なわれたウォリアーズ戦で、レブロンは股関節を負傷。回復に時間がかかり、大黒柱はキャリア最長となる17戦連続欠場を余儀なくされた。その日以降、レイカーズは11勝26敗。前述のスカウトが真っ先に挙げたとおり、このケガこそが今季のレイカーズにとって最大のターニングポイントだった。

 また、2月上旬のトレード期限前、リーグ最高級の"ビッグマン"であるアンソニー・デイビス(ニューオリンズ・ペリカンズ)の獲得を狙った動きもチームに動揺を与えた。結局、トレードは実現しなかったが、交渉の過程でボール、イングラム、クーズマ、ハート、コールドウェル・ポープ、ラジョン・ロンド、イビカ・ズバックといった主力選手たちがすべて放出候補に挙げられた。

 一部の選手に対し、「レブロンはおまえをトレードしたがっているぞ!」などと激しくヤジが飛ぶような状況下で、チーム内が微妙な空気になったことは容易に想像できる。トレード期限(2月7日)以降は17戦で13敗と、レイカーズが崩壊したことは決して偶然ではない。

 失意のシーズンは間もなく終わり、今後の注目はレイカーズとレブロンがどう立て直していくかに移っていく。来季は絶対に負けられないシーズンになるが、先行きは不透明だ。ビル・ウォルトンHC(ヘッドコーチ)の去就も定かではなく、どんな陣容で臨むことになるかを予想するのも極めて難しい。

「今夏には多くの好選手がFAになる。名指しするとトラブルになるからするつもりはないが、(大物を獲得して)向上するチャンスがあるのはすばらしいことだ」

 レブロンのそんな言葉通り、今オフにはケビン・デュラント(ウォリアーズ)、カワイ・レナード(トロント・ラプターズ)といった多くのスーパースターがFAになることが予想される。レイカーズには補強が可能なサラリーキャップ・スペースがあり、FA戦線が始まるとともに大物の争奪戦に挑むだろう。ただ、レイカーズは今季で6年連続のプレーオフ逸と低迷を続けており、スター選手たちがこのチームに魅力を感じるかどうかは微妙だ。

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