全米大学選手権はNBAドラフトの試金石。八村塁の真価はここでわかる (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 NCAAトーナメントでのプレーは、八村の今後にも少なからず影響を及ぼしそうだ。盛んに報道されているが、八村は6月のNBAドラフトにアーリーエントリーすること(大学卒業前の選手及び22歳以下の選手が、NBAドラフトの指名対象となることをリーグに届け出ること)が有力。今回のトーナメントでも、NBAスカウトがその一挙一動に目を光らせていることは間違いない。

 多くの米主要メディアは独自のモックドラフト(シミュレーション)を発表しており、八村の名前はまず例外なくその1巡目に入っている。ただ、順位は10位以内から20位台後半までかなりバラバラ。ゴンザガ大がレベルが高いとは言えないWCCカンファレンスに属していることもあり、評価をはっきりと定めるのは簡単ではないのだろう。

 八村のドラフト指名順を「1巡目全体15位から20位くらいではないか」と予想するある代理人は、八村の展望をこう述べた。

「NCAAトーナメントでの上位チーム相手のプレー次第で、指名順が上下するだろう。得点力よりもディフェンスが評価の分かれ目になる。弱いカンファレンスでやってきた後で、強豪と続けて対戦する中でも力が出せるかどうかだ」

 実際に強豪校から激しいマークを受ける中で、それでもエースの役割を果たせるのか。昨年11月21日にハワイで強豪のデューク大学を下して以降、トップレベルのチーム相手の勝利がないゴンザガ大を上位に導けるか。

「この先は負けられない。(NCAAトーナメントでの)あと6試合も自分たちのやるべきことをやって勝ちたいと思います」

 そう決意を固めた八村にとって、"マーチマッドネス"は実力アピールのステージであり、カレッジ生活での最大の勝負でもある。戦いが終わる頃には、日本バスケ界が生んだ逸材の進むべき道が、よりはっきりと見えてくるだろう。

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