本場を知るBリーガーも驚く才能。渡邊と八村が海外で活躍できる理由 (2ページ目)

――その渡邊選手は、2ウェイ契約(基本はNBAチーム傘下のGリーグチームでプレーし、1シーズンに45日間だけNBAでロースター登録が許される)から本契約を目指して奮闘していますね。
 
比留木 グリズリーズの主力選手がケガで離脱し、トップチームでの出場機会が増えていますね。得点などの目に見えるスタッツでアピールしづらい選手ではありますが、質の高いディフェンスなど、彼のプレーは十分にNBAに値すると思います。本人も「よりアピールが必要」と感じているとは思いますが、日本人選手の道筋を作るためにも本契約を勝ち取ってほしいです。

田渡 僕がアメリカに留学した当時のチームのコーチも、「ワタナベという選手に興味がある。こっちに呼んだらどうだ」と話していました。渡邊選手は僕のひとつ下の学年なんですが、高校時代から親交があったのでそれを(本人に)伝えたのを覚えています。その翌年に彼がアメリカに来て、今でもちょくちょく連絡を取っていますが、現在の位置に至るまでのステップを見てきた者として心から応援しています。

 僕もアメリカのトップクラスの選手に混じって戦った経験があるので、渡邊選手がどれだけすごい環境でプレーしているかが身に染みてわかります。彼のプレーを見ていると、「自分も頑張らなくては」という気持ちになりますね。

――アメリカでプレーしていた際に感じた苦労、日本との違いは?

田渡 シンプルにうまい選手が多くて、かなり競争が激しかったです。そこで得たチャンスを生かせる選手が上にいける。技術はもちろんですが、殺気すら感じるようなメンタル面の強さは、日本の選手よりも優れているように感じました。

比留木  "セルフマネージメント"ができない人間は淘汰されていくなと思いました。気になるチームを見つけたら自分でコーチに連絡を取り、練習の日程を聞き、会場へのアクセスを調べないといけません。それでチームに加入できても、チャンスはいつやってくるかわからない。主力選手がケガをしたから「お前、出るか」と急に言われることもザラにあります。

 ある意味"大ざっぱ"な部分があるからこそ、常に準備ができている選手が生き残っていく。才能だけでなく、人間として力がある選手がトップレベルでプレーすることを許されるんです。BリーグにもNBAでプレーしていた選手がいますが、あっちで長くプレーしていた選手ほど、セルフコントロールやひとつのプレーに対する丁寧さなどが違いますね。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る