NBAで飛ぶ鳥を落とす勢いの「怪童」。アデトクンボが直面する勝負の時 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

"センセーション"から"真のスーパースター"に飛躍するには、個人記録を充実させるだけでは足りない。プレーオフでチームを勝利に導くことは必須。そういった意味で、現時点でのアデトクンボはまだレブロンはおろか、デュラント、カリーとも並べ立てるべきではない。

 前述どおり、今季のバックスは快調にイースタンのトップを走っている。プレーオフでも本命視されることが濃厚で、それは必勝の重圧が大きくなることも意味する。ここまで飛ぶ鳥を落とす勢いで駆け上がってきたアデトクンボは、おそらくNBA入り以来初めて、大きなプレッシャーを背負うことになるだろう。

「(オールスターのキャプテンを務めることは)難しいことではなかった。チームのリーダーになるのは、チームメイトのおかげで思ったよりも大変ではなかった。みんなが僕を後押ししてくれたんだ。おかげで真剣に向き合えたし、勝利に向けてハードにプレーできた。だから簡単だったよ」

 アデトクンボはオールスター後にそんな屈託のないコメントも残していたが、プレーオフではそうはいかない。"チーム・ヤニス"ではキャプテンでありながらベテランスターたちの"弟分"でいられたが、バックスでは絶対的な大黒柱。そんな立場になって迎えるプレーオフでは、チームを上位進出に導かなければならない。

 NBAにおいて、自由奔放にバスケットボールの楽しさを表現するアデトクンボは貴重な存在であり続けてきた。そんな怪童はハイスピードでリーグの顔のひとりになり、まもなく真の勝負の時を迎える。

 今後、どこまで駆け上がるのか。オールスター後のリーグ後半戦も、"レブロン以降"のトップランナーになりそうなスーパースター候補から目が離せない。

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