名門レイカーズの誤算。
トレード・デッドライン後、雲行きは怪しい

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 しかし、ペリカンズはさらに1巡目指名権をもう2枠、計4枠を要求。これにはレイカーズもさすがに割が合わないと、デイビスから手を引かざるを得なかった。そして最終的に、デイビスはペリカンズに残留することになった。

 補強の予定が狂ったレイカーズは、その後、外角シュートがうまく、レブロンとの相性がよさそうなレジー・ブロック(SG)を獲得。さらにビッグマン2選手を放出し、マイク・マスカラ(C)を獲得することでロースター枠をひとつ空けた。この動きは、シカゴ・ブルズから解雇されたカーメロ・アンソニー(SF)の獲得に動くためと言われている。

 デイビスは獲得できなかった。だが、レイカーズは無難な補強でトレード・デッドラインを迎えたようにも思えた。しかし、事態はそれほど単純ではなかった。

 2月に入り、ペリカンズとの交渉が大々的にメディアに報じられると、レイカーズのアウェーゲームではブーイングが巻き起こるようになった。それは、クーズマやイングラムらに「レブロンがお前をトレードする!」とあおり、彼らの動揺を誘うようなものだ。

 その結果、トレード候補に名前の挙がったレイカーズの選手たちは、ゲームに集中できない日々が続くようになった。この影響によって完全にリズムを崩し、レイカーズは直近の10試合で3勝7敗と大きく負け越し。ウェスタン10位まで順位を下げ、プレーオフ出場圏内からも脱落してしまった。

 たまらず、球団社長のマジック・ジョンソンは選手たちとミーティングを行なったという。

「トレードで名前が挙がるのは、プロアスリートとして当然のこと。私は今のチームに満足しているし、今、ここにいる選手たちのことが大好きだ」

 マジック社長はそう言ったと報じられているが、一度離れた選手の心を再び掴めるかは未知数だ。レブロンを獲得し、名門復活の狼煙が上がったと思われたが、今回のトレードの不成立を機にレイカーズの未来は怪しくなってきた。

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