セルティックスの大黒柱アービングは、レブロン抜きでも勝てるのか? (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 時を同じくして、クリーブランド・キャバリアーズでプレーしていたレブロン・ジェームズがロサンゼルス・レイカーズに移籍。宿敵がウェスタン・カンファレンスを去ったことで、セルティックスがイースタンの大本命に据えられたのは当然だった。 

 しかし――。高まる一方だった前評判に反して、セルティックスは最初の20戦で10勝10敗と開幕ダッシュに失敗。アービング、ヘイワードの復帰で選手層は厚くなったが、この2人が加わったことで一時的にプレーのリズムが崩れた感があった。

 選手がひとり入れ替わっただけで、まるでカクテルの味が変わるようにチームカラーが変わるバスケットボール。メンバーが変更されれば、アジャストメントの時間も当然必要になる。多くの役者が揃ったからといって、スター軍団がいきなりエンジン全開で突っ走れると考えたのは早計だったのだろう。

 12月14日までに8連勝を飾ってついに噛み合い始めたかと思いきや、その後にデトロイト・ピストンズ、フェニックス・サンズ、バックスに3連敗を喫した。サンズ戦ではチーム全体で合計16ターンオーバーを献上する乱調ぶり。このようにセルティックスの"ケミストリー欠如"が懸念される一方で、トロント・ラプターズ、バックスといった東の強豪はハイペースで勝ち続けている。そんな状況では、危機論が出てくるのも仕方がない。

「僕たちはもっとハードにプレーしなければいけない。過去3戦では、8連勝していた頃のようにハードにプレーできていない。ハードにプレーすることは勝利につながる。それをやらなければいけないんだ」

 昨季、新人王候補に挙がったテイタムのコメントは、セルティックスの問題が個々の才能にあるわけではないと主張しているようだった。
 
 しかしそんな状況下でも、まだ焦る必要はない。シーズンは折り返し地点にも達しておらず、先は長いからだ。とくにバックス戦では、ホーフォード、アーロン・ベインズ、マーカス・モリスといったビッグマンが故障離脱していたため、勢いに乗る相手に歯が立たなかったのもうなずける。

「8連勝中も対戦相手に恵まれた部分が大きく、リズムがよかったとは言えなかった。優れたプレーができていないのは明らかだ。ただ、セルティックスが数多くの好選手と優秀なコーチを擁していることに変わりはない。今後もアップダウンはあるだろうが、2、3月ごろにはペースを上げてくるんじゃないか」

 ボストン地元紙の番記者はそんな楽観論も述べていた。たしかに、これだけ誤算が続きながら、20勝13敗でのイースタン5位(12月26日時点)は悪い成績ではない。来春に向けて徐々にペースを上げていけば、セルティックスは現在上位にいるチームにとって怖い存在になる。

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