オヤジ頑張る。41歳ビンス・カーターがNBAで愛され続ける理由 (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

「ベンチの端で座っているだけで、プレーする機会は与えられないのでは楽しくない」とカーター。ただ、ホークスでの状況は違った。

「彼ら(ホークス)は僕にプレーして競う機会を与えてくれた。それだけでなく、若手選手にとってお手本になるような機会も与えてくれた」

 若手選手たちとの関わり合いにも、充実感があった。一緒にプレーし、言葉だけでなく、プレーを通して、彼らに自分が学んできたことを伝えるのが楽しいという。

「彼らの成長を見ることで、僕自身も若返った気分になれる。彼らと競うことで、モチベーションを感じるし、僕をやる気にさせてくれる。大勢の年取った選手たちと一緒にプレーすると、みんなで一緒に年寄りになったような気がするけれど」と笑い、過去に所属したチームの悪口だと受け取られないように配慮したのか、後半部分はジョークなのだと付け加えた。

 もちろん、すべて若いときと同じようにとはいかない。

「彼ら(若手)は朝起きてすぐに何でもできるけれど、僕は『ちょっと待って。ストレッチをしてからすぐに行くから』となるんだ(笑)。それでも、バスケットボールに対する愛が、まだ僕のなかにある。彼らと一緒にいて、僕の知識を分け合い、彼らの成長を助けることができるのは、僕にとって楽しいことだ」

 話していると、何度も「楽しい」という言葉がでてくる。充実したシーズンを送っている証だ。

 もちろん、試合に出られる状態を保つために、それだけの努力はしている。朝起きたあとのストレッチだけでなく、オフシーズンも含め、1年通しての大仕事だ。

「今の時点でこれができるのかと、常に自分自身に問いかけている。夏の間にそのための準備もしている。21歳のように......とはいかないかもしれないけれど、31歳のようには準備している。

 あとは全力で努力し、自分の時間を待つ。試合に出て、見せることができる。まだこんなことができるのかと言われることもある。それが楽しい」

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