4連敗→6連勝。ウイング3人の
成長が日本バスケの可能性を広げる

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 大学4年の途中からプロ入りして1年が過ぎたが、それまでの馬場は「アメリカでプレーしたい」「ポイントガードもやってみたい」と様々な迷いの中で身体能力を持て余すようにプレーしていたが、ここへ来てダイナミックさはそのままに、状況判断力がついてきた。

 大学卒業を待たずしてプロ入りを決めた昨年、馬場はアルバルク東京のルカ・パヴィチェヴィッチHCから「今は本能だけでプレーしているし、状況を考えずに雰囲気でパスを出している。まずは一つひとつのプレーに責任を持つこと」と指摘されていた。そうした課題をプロの試合をこなすことで経験値として克服していき、個人スキルを向上させていったのだ。

 その証が、カタール戦3Q終了のブザービーター。1対1で横にステップしながらのジャンプシュートはBリーグでもなかなか見られない高度な技。さらに、カザフスタンのキーマンであるルスタム・イェルガリの足を止めさせたディフェンスもファインプレーだった。

 馬場が上昇していく傾向は昨年11月のWindow1の頃から見えていた。24点差で大敗したオーストラリア戦。比江島しか1対1でこじ開けられる選手がいない中で、馬場は速攻を含む11回ものゴールアタックを試みて活路を見出そうとしていたのだ。それは大敗の中で得た一筋の光のようでもあった。伸び盛りの23歳は今、成長の階段を駆け上っている。

 状況に応じてマルチなプレーで活躍したのが田中大貴だ。これまでの代表戦ではディフェンスこそ安定していたが、これといった特色を出せずにいた。「情けない話ですけど、今の自分は代表に来ると苦しい思いがあり、大事なところで決める、というレベルには至っていない」と、もどかしさを吐露していたのは9月のWindow4の頃だった。

 だが、9月のカザフスタン戦では、渡邊と八村の陰に隠れながらも要所で決めて8得点。「今までの自分をリセットするわけじゃないけど、初めて代表に入った時の気持ちのように『空いたら打つ』というメンタリティで臨んでいます」と心構えから変える姿勢を見せていた。そしてリーグ開幕直前に、Bリーグ王者として出場したアジアチャンピオンズカップにて、準優勝ながらMVPを獲得。「アルバルクの中では代表経験があるので、余裕が出てきて落ち着いてやれました」と確かな手応えを感じ始めていた。

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