レブロンが新天地レイカーズで笑顔な理由。「すべてのゲームが学び」

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Image

 現地時間12月2日のフェニックス・サンズ戦終了後。ロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズは、ステイプルズ・センターのロッカールームで多くのメディアに囲まれた。無数のテレビカメラが立ちはだかったため、集団の後ろに立った記者は姿を見ることも言葉を聞くこともままならなかった。

ベンチでチームメイトと談笑するレブロンベンチでチームメイトと談笑するレブロン まだシーズン序盤であることが信じられないくらいの騒ぎである。クリーブランド・キャバリアーズ(以下キャブズ)、マイアミ・ヒートでプレーしていた頃もこの喧騒はおなじみだった。ただ、これまでと違うのは、レブロンが今季に新加入したレイカーズには他に"スーパースター"と呼べる選手がいないことだ。

「僕たちは毎試合向上しているよ。すべてのゲームが学ぶための機会。勝つのは楽しいものだ。勝っても負けてもミステイクから勉強できる。僕たちにとっての勝利のカギがディフェンスとボールをシェアすることだと、もうわかっている」

 120-96でサンズを下した試合後、レブロンは"Learning"という言葉を繰り返した。これまでも、チームに適応するという意味で学ぶ時間は必要だっただろうが、近年のレブロンにとっては、"学ぶ"よりも"勝つ"ことが最優先だったはずだ。

「選ばれし男」と呼ばれてNBA入りした怪物は、15年のキャリアですでに3度のファイナル制覇を達成。昨季まで、ヒートとキャブズのエースとして8年連続でファイナル進出を果たしてきた。そして、これまでの戦いで、レブロンは多くのスーパースターたちに囲まれてきた。

 しかし34歳になった今のレブロンのチームメイトには、ヒート時代のドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュ、キャブズ時代のカイリー・アービング、ケビン・ラブのように実績豊富な同僚はいない。ブランドン・イングラム、ロンゾ・ボール、カイル・クーズマといった主力選手は将来有望だが、いずれも20代前半。レブロンが、現在のレイカーズが"まだ学ぶ段階"であることを強調するのも当然だろう。

 そんな若手中心のレイカーズにあって、チームを14勝9敗(12月5日時点)という好成績に導いているのがレブロンの凄さだ。開幕3連敗、最初の7戦で5敗を喫したリーグ屈指の名門だったが、11月は11勝4敗で終えるなど好調。大混戦のウェスタン・カンファレンス5位で、トップまでわずか2ゲーム差の好位置につけている。

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