2018.11.30

76ersが手にした「ギフト」。
ビッグ3の完成でチームは快進撃

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Image

 もちろん懸念材料がないわけではない。歯に衣を着せない物言いで知られるバトラーは、所属チームにとっても危険な存在になり得る。ウルブズ時代にはカール・アンソニー・タウンズ、アンドリュー・ウィギンスという若手スターたちとの確執が喧伝され、それが今回のトレード成立の一因となった。よりメディアが騒がしいフィラデルフィアでも、”暴発”する可能性は否定できない。

「彼は辛抱強く状況を理解しようとしている。正直少し驚いているよ。このチームのプログラムとカルチャーに謙虚に馴染み、チームメイトたちをリスペクトし、すべてをゆっくりと見極めようとしてくれている」

 ブレット・ブラウンHCはそう感心していたが、実際に上位進出のチャンスがある76ersはバトラーにとってもやりがいがあり、馴染んでおきたい職場なのだろう。それでも、新天地に慣れてくるにつれてさまざまなアップダウンがあるはずだ。いずれ訪れる苦境にどう対応するか、そこで原型の76ersの真価が問われることになる。 

 ともあれ、エンビード、シモンズ、バトラーという新たな”ビッグ3”を完成させて以降、76ersは5勝2敗。まだまだスモールサンプルだが、ライバルチームにとって危険なチームになったことは間違いない。同時に、地元ファンにとってもよりエキサイティングなチームになったはずだ。

 今季の76ersのホームゲームは開幕から11戦連続ソールドアウトで、成績も地元では10勝1敗。バトラーのホームデビュー戦には76ersの”レジェンド”アレン・アイバーソンも姿を見せ、ここにきてチームの雰囲気も大きく向上した。このまま76ersが勝ち続ければ、1990年代後半から2000年代前半にアイバーソンを中心にしたチームのように、フィラデルフィアの街を熱狂させるに違いない。

 そんなシナリオが現実のものとなるか。カギを握るのはやはりバトラーだろう。新たな切り札がエンビード、シモンズとかみ合い、クラッチショットを決め続ければ、今季中のファイナル進出も夢物語ではない。NBAファンは、しばらく76ersの動向から目を離すことができなそうだ。

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