田臥勇太と渡邊雄太。
細い糸でつながる「NBAプレーヤー」の系譜

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 高校2年から日本代表に選出されるなど、国内では常に高い評価を受けていた渡邊だが、アメリカでのプレー経験のある選手は、高校時代の渡邊をこう評価していた。

「素材としては間違いなく日本最高クラス。ただ、アメリカでNBAを目指すレベルの選手に混ざれば、体格も身体能力も並。もっと速い選手も、もっと強い選手も、もっとうまい選手もいくらでもいる。何かひとつ、武器がなければ埋もれる」

 アメリカで悩みながら、もがきながら、渡邊が見つけた武器はディフェンスだった。昨季、大学4年だった渡邊はアトランティック10の「ディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー」を獲得している。

 渡邊のディフェンスは、どこまでも基本に忠実だ。細かくステップを踏み、相手との間合いを詰める。シュートを打たれても最後まであきらめずチェックに跳び、タフショットを打たせることを心がける。スティールも得意だが、決してギャンブルしてカットを狙うことはせず、チームディフェンスを優先する。そのプレーは、まさに渡邊の人柄がにじむ。

 大学時代の渡邊と日本代表でともにプレーした経験を持つ選手は、NBAプレーヤーになった彼の姿に驚きを隠せない。

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