不祥事発覚の男子バスケ。残された人たちはいかに戦い、どう思ったか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 とはいえ、不祥事を起こした選手が罰せられるのは、自業自得なのだから仕方がない。とんだ"とばっちり"を受けたのは、残された8人のほうだ。

「やっぱり最初はショックでした」

 事件発生直後の心境をそう語るのは、チーム最年長の34歳、太田敦也(三遠ネオフェニックス)である。彼の言葉を待つまでもなく、チーム内に少なからず動揺が生じたことは、想像に難くない。

 それでも、「僕らがうつむいてやっているよりも、顔を上げて、楽しんでやっているところを見せたほうがいいのかなと思ったので。そういう(気持ちの)切り替えはできたかなと思います」と太田。

 マンドーレ・ヘッドコーチ代行も、「4人がいなくなったことを理由に、今までやってきたことをやめるな。みんなは日本全国で見られている。日本を背負って戦っている以上、8人だろうとしっかりと戦って、結果を出そう」。選手たちに、そう叱咤したという。

 もちろん、残された選手への影響は、精神的なものだけではなかった。12人が8人になったということは、単純計算でひとり当たりの出場時間は1.5倍に増える。2試合やれば、通常の3試合分の出場時間になる計算だ。体力的な負担増は相当だったに違いない。

 だが、太田は恨み言を口にせず、今回の出来事を前向きにとらえる。

「(選手交代して)ベンチに帰ってきても、3人しかいないんで(苦笑)。でも、ケガで離脱だとか、(8人で戦う状況も)ないことではない。初めての経験でしたが、いい勉強をさせてもらったし、(8人でも)最後まで戦えたこと自体がよかった。日の丸を背負って勝つということを、そんなにみんなで話し合ったりはしてないですけど、各々がしっかり自覚してコートに立てたんじゃないかと思います」

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