日本男子バスケのエースが豪州へ。比江島慎の海外移籍への決意 (4ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

「日本から6000キロも離れたオーストラリアに渡り、文化の違いや言葉の壁がある新たな環境へ挑戦する彼の行動はとても勇気あるもので、リスペクトしている。今回の移籍に関してもっとも重要だったのは、ワールドカップ予選で彼がNBLのトップ選手を相手にいいパフォーマンスをしていたということだ。その試合で結果を出せていたのだから、NBLでも通用すると考えている。マコトはオフェンスのスキルが優れており、ドライブができてパスの判断にも優れているので、ガードの層が増すだろう」

 指揮官がこう評価しているように、プレー面は十分通用すると期待されている。

 それよりも、日本とは違うバスケのシステムを覚え、異文化の環境に慣れ、言葉が違う選手たちとコミュニケーションを取るなど、コート外で対応しなければならないことが多い。それらに適応していくことができれば、「なかなか勇気が出せなかった」という本人の殻を破ることになり、ひいてはパフォーマンス向上にもつながるだろう。

 日本にBリーグができて今年で3年目。日本の環境で育ち、日本代表での活躍を経て、海外ルートを開拓したという意味でも、比江島の移籍には価値がある。日本のエースのさらなる成長とともに、先駆者として道を作れるかにも注目していきたい。

 なお、NBLはリーグ戦が28試合と少なく(Bリーグは60試合)、2月17日にレギュラーシーズンが終了する。プレーオフに進出しなければそこでシーズン終了となるため、2月末が最終登録期限となるBリーグでプレーすることは可能だ。ただ、プレーオフに進出した場合は日本に戻ってプレーすることは不可能となる。今はとにかく、日本への復帰など考えず、目の前のチャレンジを続けるだけだ。

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