「自分が点を取りにいく」。
比江島慎は崖っぷちの日本バスケを救えるか

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

――日本代表で自信がついてきて、自分がエースにならなければ、と感じたのはいつ頃ですか?

比江島 中国でのアジア選手権(2015年)の頃だと思います。あの大会は田臥さん(勇太、栃木ブレックス)についていって、自分は力を試す大会だったんですけど、得点が取れるようになり、あのあたりから自分がエースにならなければ、という気持ちが少しずつですけど出てきました。

――2015年のアジア選手権は、日本が18年ぶりにベスト4に進出した大会でした。準決勝でフィリピンに惜敗したとき、フィリピンのヘッドコーチが悔し涙を流している比江島選手に「You Are Champion」と声をかけて労(ねぎら)ったことが印象に残っています。それほど、相手チームにとっても比江島選手がマークすべき対象になり、得点力が確立した大会でした。

比江島 その時期から自信がついてきました。今はあの頃よりは責任感がありますが......結局、エースとしてチームを勝たせられていないので、もっと自分で攻めなければいけないです。

――これまでは比江島選手の得点に頼っていましたが、Window3からファジーカス選手と八村選手が入ることで、日本のバスケはどう変わりますか?

比江島 やはりインサイドで点が取れることが大きいです。彼らで点を取るフォーメーションも増えたし、苦しいときにインサイドにボールを入れると攻めてくれるので頼もしいです。それに、塁はトップスピードで走れるので、速攻が出やすくなっています。

――ただ、ファジーカス選手と八村選手が得点を取れば、韓国との1戦目のように比江島選手がボールを持つ機会が少なくなってしまう。これはインサイドにボールを預けることが多くなったシステムの問題でしょうか?

比江島 個人的な反省としては、韓国との1戦目はディフェンスがダメでした。韓国の新しいメンバーの情報があまりなくて、43番(イ・デソン)があんなに速いとは思わず、15分のプレータイムでファウルアウトしてしまいました。自分は長い時間出てリズムを掴むほうなので、ファウルトラブルになっては、なかなか調子が上がらなかったです。

 得点面では遠慮していたわけではないのですが、インサイドで点が取れていたし、止められるまで同じセットをしろという指示だったので、僕がボールを持たなくても大丈夫という感じはありました。でもまあ、そういう日もあると思うので......そのときは切り替えるしかないです。

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