帰化した210cmの巨人ファジーカスは日本バスケの救世主となるか (4ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

 現在、ゴンザガ大でプレーし、同じく日本代表初招集となった八村の可能性をファジーカスはこう表現する。

「一緒に練習して塁の才能に触れ、近い将来に彼がNBAでプレーすることはほぼ間違いないと確信した。ドラフト1巡目でピックされる可能性も十分にある。あとは、これから自分がどんなことができるのか本人が気づき、どういったプレーで表現していくかだ。その気づきによって、NBAでどのくらい活躍できるかが決まってくる」

 ファジーカスと八村が同時にコートに立つことで、日本代表はどう変わるか? 愚問だ。日本代表のすべてが変わる。

 日本が高さで世界に見劣らないだけでなく、オフェンスのパターンも限りなく増える。今季、ゴンザガ大では3Pを打たなかったが、八村が3Pシュートも打てることは昨年出場した「FIBA U19バスケットボール・ワールドカップ」で証明済みだ。ファジーカスと八村の両選手が内外をこなせることで、とれる戦術は無数に広がる。何より戦術どうこう言う以前に、現時点で考えうる歴代最強の日本代表フロントラインが生まれたことは間違いない。

 さらに頼もしいのが、オリンピック出場にかけるファジーカスのモチベーションの高さだ。それには理由がある。今年3月、父親となったファジーカスは、息子にハドソン・海渡・ファジーカスと名づけた。

「東京オリンピックが開催されるころ、ハドソンは2歳と半年。彼の記憶に少しでも残るようなプレーをオリンピックでしたい。そして彼が成長したとき、父はこういうことを成し遂げたと伝えたい。『可能性というものは、君の目の前にも無限に広がっているんだ』ということを伝えたいんだ」

 しゃぶしゃぶ、天ぷら、ラーメン......ファジーカスが好きな日本食は多い。納豆と生魚は少し苦手だ。日本語は勉強中だが、すでに簡単な会話は日本語で行なえる。好きな日本語は「大丈夫」。

 どんなときに使うのか、本人に聞いた。敵ならば恐ろしい、味方なら誰よりも頼もしい日本人選手は、日本語でこう答えた。

「オリンピックに行きます。大丈夫です」

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