帰化した210cmの巨人ファジーカスは日本バスケの救世主となるか (2ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

「僕だけじゃない、妻も日本での生活が好き。だから、日本への帰化は誰に頼まれたわけではなく、自分で決めた。第二の故郷のように感じる場所で暮らしている以上、自然な流れだった」

 そして、日本国籍を取得したファジーカスが、いよいよ日本代表候補にその名を連ねた。

「帰化を申請する以上、日本代表についても、常に頭の片隅にあった。実際に代表に呼ばれたときは、とてもエキサイティングな瞬間だった。東京オリンピック出場という、大きな目標を掲げたチームに呼ばれたことを光栄に思う」

 味方ならば、これほど頼もしい選手はいない。そんな男が、日の丸が入ったユニフォームに袖を通し、ついにコートに立とうとしている。

 だが、日本代表が置かれた状況は、「崖っぷち」という表現ですら生ぬるいほど厳しい。もはや滑落中――死ぬか、生きるか、生殺与奪の権利すら、すでに日本の手の中にはないと言っていい。

 来年行なわれるワールドカップ。日本はそのアジア1次予選B組で、オーストラリア、フィリピン、チャイニーズ・タイペイとホーム&アウェーのリーグ戦を行なっている。現在、日本は4戦全敗で最下位。残すはホームでのオーストラリア戦と、アウェーでのチャイニーズ・タイペイ戦のみだ。

 日本代表は6月15日と17日に韓国との強化試合を行ない、運命の6月29日――1次予選 Window 3を迎える。

 この日、日本は4戦全勝でB組1位のオーストラリアをホームに迎え、日本に勝利した同組3位のチャイニーズ・タイペイはホームで同組2位のフィリピンと戦う。

 オーストラリアはリオ五輪で4位となっているように、アジアでは頭ふたつ抜けた存在だ。しかも、NBAがシーズンオフになり、マシュー・デラベドバ(ミルウォーキー・バックス/PG)やソン・メイカー(バックス/C)といった現役NBAプレーヤーがチームに合流している。ホームとはいえ日本が勝利する可能性は、お世辞にも高いとは言えない。

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