もし、レブロンがバケモノなら...。NBAファイナル「想定外」の確率 (3ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 過去3年間のファイナルの対戦成績は、ウォリアーズの2勝1敗。

 数字的には拮抗して見えるが、キャブスが第7戦までもつれた末に勝利した2016年は、ウォリアーズが3勝1敗で早々と王手をかけたものの、ドレイモンド・グリーン(ウォリアーズ/PF)が累積フレグラントファウルによって出場停止になった第5戦をキャブスが勝利し、シリーズの流れを手繰り寄せたことで奇跡の3連勝を成し遂げた。もしグリーンの出場停止がなければ、ウォリアーズが過去3年のファイナル対戦成績を3戦全勝としていた可能性は高い。

 しかも、ケビン・デュラント(SF)が加入した昨季はウォリアーズが完勝している。昨季のファイナルで平均29.4得点を記録し、キャブスの得点源だったカイリー・アービング(ボストン・セルティックス/PG)は、すでにチームを去った。休養中のラブはシリーズ中の復帰が濃厚と言われているが、それがいつになるかはわからない。ただでさえウォリアーズが戦力で勝(まさ)るのに、キャブスにはマイナス要素が多すぎる。

 唯一、キャブスが勝利する可能性があるとしたら、2016年ファイナルMVPのレブロンが2017年ファイナルMVPのデュラントとの「MVP対決」で圧倒することくらいか。ウォリアーズは「レブロンストッパー」となるはずのイグダーラの復帰時期が不明で、レブロンにデュラントがマッチアップする回数は増えるはず。パワーではレブロンが勝り、高さとシュート力ではデュラントに分があるが......。

 第4シード以下のチームがファイナルを制したのは、アキーム・オラジュワンとクライド・ドレクスラーを擁し、第6シードながら優勝した1995年のヒューストン・ロケッツまでさかのぼらなければならない。脳内でいくつもの「たら・れば」な妄想を展開してみるが、どう転んでも熱狂的なキャブスファン以外はウォリアーズの優勝を予想するだろう。

 ただし、レブロンが想定以上のバケモノであったら、もしかして......。予定調和の破壊こそ、スーパースターの使命なはず。

 泣いても笑っても、あと4つ白星を積み重ねたチームが今シーズンのチャンピオンだ。いよいよ、NBAファイナルの幕が開く――。

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