ダンクする日本人、阻止する外国人。ファイナルにみるBリーグ2年目 (4ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO

 緊張感溢れる試合は、常に1桁台の点差で進む。拮抗した天秤がA東京に傾いたのは、第2Qの終了間際。残り4秒で千葉のレオ・ライオンズ(SF・PF)がオフェンスリバウンドからシュートをねじ込み33−40。7点差で前半を終えるかと思えた瞬間、ハーフコート付近からA東京のジャワッド・ウィリアムズ(PF)が放った3Pシュートがネットに吸い込まれ33−43に。この試合、初めて2桁点差がつき前半が終わる。勝利の女神がA東京に微笑むことを予感させるワンシーンとなった。

 後半、千葉はジリジリ追い上げるも詰めきれないまま時間が過ぎていく。

 第3Q残り4分10秒、A東京の馬場が速攻からダンクを試みる。それを背後からギャビン・エドワーズ(PF)がブロック。馬場はファールをアピールするもノーファールで試合は続行し、抗議を続ける馬場にテクニカルファールの笛が吹かれた。与えられたフリースローを富樫が沈め、47−52と5点差に。しかし、A東京の控えPG、小島元基の3Pシュートなどの活躍で、試合は再び2桁点差となる。

 千葉は懸命に反撃の糸口を探すが、A東京は各選手が基本5分、エース富樫をマークするスターターPG安藤誓哉(せいや)に至っては、小島とほぼ3分間隔で交代を繰り返した。A東京は常にフレッシュな状態でコートに立つ選手が、常にマークマンにプレッシャーを与え続ける。シーズンを通して行なった厳しい練習で作り上げた鉄壁のディフェンスは、40分間を通じて綻びを見せなかった。
 
 試合の機微を嗅ぎ分ける能力と、選手交代のうまさでいくつもの勝利を積み重ねた千葉の知将、大野篤史HC。試合残り41秒、大野HCのシーズン最後の采配は、今季限りで引退を発表している"イートン"のニックネームで愛された38歳のベテラン伊藤俊亮(C)をコートに立たせることだった。

 イートンが現役最後のシュートを放った30秒後、試合終了のブザーは鳴った。

 最終スコア60−85。A東京が今季の王者に輝く。
 
 A東京は、今季の王者に相応しい。ひとかけらの疑いの余地もなく、今シーズンのチャンピオンだ。

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