今年は大揺れNBAプレーオフ。震源は「若き天才2人」の76ersだ (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 エンビードに匹敵する才能を持つと評されるシモンズは、ルーキーながらリーグを代表するオールラウンダーになった。今季すでに12度のトリプルダブル(3月だけで5度)を達成するなど、若きプレーメイカーとして76ersを支えている。

「シモンズは特別だよ。サイズ、視野の広さ、判断力は天性のもので教えることはできない。アンセルフィッシュで、周囲の選手を生かすことができる。チームメイトたちのプレーをより簡単にさせることができるんだ」

 対戦したウルブズのトム・ティボドーHCがそう語る通り、シモンズも長くリーグを騒がせる選手になっていくだろう。エンビードが不在の間は、まだ21歳のシモンズがチームを引っ張っていかなければならない。身長208cmながらボール運びを任される大型司令塔は、ティボドーHCが絶賛する通り、仲間たちの力を引き出すことができるだろうか。

 このルーキーの頑張りで、マイアミ・ヒートとのプレーオフ第1ラウンドを突破し、エンビードの復帰を待つのが76ersにとって理想的な展開だ。ともに突出した才能を持つシモンズとエンビードが、キャブズ、ラプターズ、セルティックスといった強豪が待ち受ける第2ラウンド以降に揃って臨むことができれば......。

 ともあれ、76ersが"NBAの未来"と評されるほどに楽しみなチームであることに変わりはない。今季は大本命が不在のイースタンに、その"未来"が意外に早く訪れても驚くべきではないのかもしれない。

 間もなく始まる2018年のプレーオフ。レブロン・ジェームズ、ヤニス・アデトクンボ、カイリー・アービングといった実績ある選手はもちろん、エンビードとシモンズからも目が離せない。

 今回のポストシーズンは、これから始まる"76ers新時代"の第1章として、いずれ懐かしく振り返られることになるだろうか......。

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