今年は大揺れNBAプレーオフ。震源は「若き天才2人」の76ersだ (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 この魅力的なチームの中でシンボル的な存在となってきたのが、センターのエンビードだ。身長219cm、体重113kgという巨体ながら、身体能力、クイックネス、スキルを兼ね備えた万能型。NBAのレジェンド、ウィルト・チェンバレンが比較の対象として話題に上がるなど、まだ24歳のビッグマンは底知れぬスケールの大きさを感じさせる。

「ゲームに出られなかった2年間、僕は『失敗だ』などと言われてきた。それでもハードに練習を続け、ここまでこれたことを嬉しく思うよ」

 今季、オールスターに初出場した際にそう述べていた通り、エンビードは2014年ドラフト1巡目全体3位で76ersに指名されながら、度重なるケガで最初の2年間はまったくプレーできなかった。

 しかし今季は、63試合で平均23.8得点、11.0リバウンドという優れた数字をマーク。間近に迫ったプレーオフは、攻守両面でほとんど弱点がなく、いずれアンストッパブルな選手に成長するであろう"大器"にとって初の大舞台になる......はずだった。
 
 76ersに激震が走ったのは3月28日のニューヨーク・ニックス戦のことだった。

エンビードは第2クォーターで味方選手と接触して脳震とうを起こし、眼窩(がんか)骨折という重傷を負った。報道によると、復帰までには2~4週間かかる見込みで、4月14日に開幕するプレーオフの第1ラウンドには間に合わないかもしれない。

 ポストシーズンではラプターズ、キャブズを脅かす存在になると思われた76ersだったが、思わぬかたちで先行きに暗雲が立ち込めた。今後は、もうひとりの若きスーパースター、シモンズに大きな負担がかかることになりそうだ。

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