渡邊雄太、NCAAトーナメント挑戦は涙で終了。夢の続きはNBAで (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

「A-10トーナメントに優勝し、NCAAトーナメントに出場する」

 この4年間、「目標は?」と問われた渡邊は間髪入れずにそう答え続けた。

"マーチマッドネス(3月の狂気)"と呼ばれるNCAA トーナメント。日本の甲子園大会に例えられる全国大会への出場こそが、すべてのカレッジ・バスケットボーラーにとっての最大の夢である。2013年に渡米した渡邊にとってもそれは同じだった。

 3年生までは惜しいところでマーチマッドネスには届かなかった。そして、4年生として迎えた今回のA-10トーナメントでも敗退。15勝18敗という今季のGWの成績を考えれば、選抜での出場は考えられない。つまり、渡邊のNCAA トーナメント出場の夢はここで潰(つい)えたことになる。

「今は正直、悔しいという気持ちしかない。今まで惜しいところまでいっていたと思うんですけど、今年はシーズンの成績が厳しくて、それはエースである自分の責任。トーナメントに出られなかったことは、大学生活の中で悔いが残ることです」

 渡邊のバスケットボール人生はこれから長く続くとしても、NCAAトーナメントに出るチャンスは永遠に失われた。この刹那(せつな)的な部分が学生スポーツの魅力だが、思いを果たせなかった選手にはその喪失感が重くのしかかるはずだ。

 ただ、大学での最大目標こそ叶わなくとも、渡邊がGWで紡ぎ上げた4年間に大きな意味があったことに疑問の余地はない。

 1年生でスターター入りを果たすと、2年生時にはNITトーナメント優勝に大きく貢献。昨季はA-10カンファレンスのオール・ディフェンシブ・チームに選出され、「屈指の2ウェイプレーヤー(攻守両面で優れた選手)」と呼ばれるようになった。

 最上級生として迎えた今季は、平均16.3得点、6.1リバウンドという堂々たる数字をマーク。GW史上初めて、A-10カンファレンスのディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ジ・イヤー(最優秀守備選手)に選ばれるなど、背番号12は紛れもなくカレッジ有数のプレーヤーに成長した。

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