ポールとハーデンが出場ならロケッツは勝率9割。2人がいたら降参だ (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 昨年夏に、自らの希望でヒューストン・ロケッツへのトレードを決断したのも、NBA優勝に対する強い気持ちからだった。ロサンゼルス・クリッパーズで6シーズンを過ごし、自分も家族もロサンゼルスの地に根を張り始めていた。チームは毎年プレーオフには出ていたし、マーケティング的にも大都市は有利だ。

 普通に考えれば、クリッパーズと再契約するのが順当に思えた。

 しかし、何かが違う、とポールは思っていた。プレーオフではファーストラウンド敗退が3回、カンファレンス・セミファイナル敗退が3回。NBAに入って12シーズンたったが、優勝どころか、まだ一度もカンファレンス・ファイナルまで進んだこともなかった。ポールのミスが敗因だったこともある。タイミング悪い故障など、運の悪さもあった。

 だが、それでも、優勝のためには環境を変えなければならないと思った。

「変化が必要だと思った」とポールは言う。

 移った先のロケッツに、自分と同じぐらい強い気持ちで「究極の目標」を求めている選手がいたのも、移籍の決め手となった。ジェームズ・ハーデン(PG)だ。同じポイントガードのポジションであることは、躊躇(ちゅうちょ)する理由にもならなかった。むしろ、これまでと違うチャレンジと受け止めて歓迎した。

 ロケッツへの入団会見で、ポールは「勝つためでなければプレーする意味がない」と言い切った。

 ハーデンも同じ気持ちだった。ハーデンは6年前、オクラホマシティ・サンダー時代に一度だけNBAファイナルを戦ったが、レブロン・ジェームズ(SF)率いるマイアミ・ヒートに完敗し、優勝には手が届かなかった。昨季はカンファレンス・セミファイナルで敗退している。

 ポールを迎え、ハーデンは「今年こそ優勝する年だ」と宣言する。ゴールデンステート・ウォリアーズという絶対王者がいるだけに、そう宣言するだけでもニュースになるほどだが、ハーデンもポールも本気で信じている。

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