這い上がれ、日本男子バスケ。
W杯予選で連敗スタートからのイバラ道

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 フィリピンは2000年代中盤まで国内で内紛があったが、FIBAの制裁が解けた2007年のアジア選手権に復帰すると、日本の8位とほぼ同位置の9位から再出発し、そこからは急激な発展を遂げている。セルビアから指導者を招き入れ、そのコネクションを生かして海外遠征を積み、リーグと協力体制を作ってアジアの様々な国際親善大会に選手を送り出しては育成し、国内外にいるアメリカ系フィリピン選手を発掘し、最終的にはインサイドに強力な帰化選手を呼び入れた。

 そうして急速にチーム力をつけていったフィリピンが、簡単にアジア上位にのし上がったわけではない。フィリピンの行く手を阻んだのは、これまたアジアの強豪である韓国だ。何度も何度も韓国に跳ね返されながらも立ち向かい、ようやく勝てたのが、ホームで開催した2013年アジア選手権の準決勝。現在30代の選手たちは、フィリピンが躍進する過程の生き証人として今のチームに引き継いでいる。だから簡単には崩れない。日本にはそうした強化の積み重ねがない。これが『チーム力の浅さ』に出ている。

 今年の夏に就任したフリオ・ラマスHCは、2012年のロンドン五輪で母国アルゼンチンをベスト4に導いた実績の持ち主である。しかし就任してまだ4カ月。本人も「今は日本の全選手、全チームのバスケを見て、日本のバスケを知るプロセスの最中」だと話す。ベンチ采配を見ても、まだ選手との共通理解は明確ではなく、試行錯誤といったところである。それでも、南米からやってきた指揮官はこの数カ月で日本選手の生真面目な取り組みを見て、確信を持ったという。

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