NBA東で『アベンジャーズ』並みの
キャブスに対抗できるチームは?

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 なぜならば、チームのエースだったトーマスは抜群の人気と攻撃力を兼ね備えるものの、身長はわずか175cmしかなく、王者を目指すならばディフェンス面で穴となりかねないからだ。獲得したアービングは191cmと上背もあり、さらにまだ25歳と若い。「長期的に見ればセルティックスが得をした」と断言する識者が一部にいることも忘れてはならないだろう。どちらが本当に得をしたのかの答えは、今季だけでなく、数年後まで待つべきだ。

 ただ、トーマスのような地元ファンに熱狂的に愛されたプレーヤーのトレードに、「フランチャイズビルダー」という言葉を懐かしく思うオールドファンも多いはず。なかにはトーマスを放出した球団に怒りを覚えたファンもいたのではないだろうか。セルティックスを愛したトーマス本人は、トレード発表から1週間後、その胸中をこう手記につづっている。

「本音を言ってしまうと、今も心が痛む。それも、とてつもなく。ただ、みんなに理解してほしいのは、僕の心が痛いのは、誰かに何かをされたからではないということ。痛みの原因は自分自身にある。心が痛むのは、僕がボストンに恋をしていたからなんだ」

 運命の悪戯(いたずら)と言っていいだろう。トレード前から決まっていた今季の開幕カードのひとつは「キャブスvs.セルティックス」。トーマスの出場こそ叶わないが、この試合の勝敗が今季のイースタンの覇権を占ううえで重要なゲームであることは疑いようもない。

4 / 8

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る