U19W杯で歴代最高の10位。接戦の連続に日本バスケの未来が見えた (4ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 八村は強豪のゴンザガ大で1シーズン揉まれたが、プレータイムそのものは短かった。そんな八村がどこまでできるか注目されていた大会で、NCAAファイナルに進むチームで練習してきた成果を見せつけたのである。彼が残した個人成績(平均値)は20.6得点(2位)、11リバウンド(3位)、1.4ブロックショット(5位)と堂々たるもの。得点とリバウンドのダブルダブルは6試合(1位)、貢献度を表す数値のエフィシェンシー(EFF)も23.7でこれも1位にランクと、出場選手の中でもインパクトは絶大だった。

 U19ワールドカップはNBAのスカウトたちも注目する世界最高峰のユース大会である。八村にとっては来るシーズンでプレータイムを勝ち取るためにも、将来のNBA入りに向けても、自分をアピールする絶好の場になった。事実、大会前は「この2年、八村塁はどこに行ったのか、という人たちに自分のプレーを知らせたい」と語っていた。この思いは嘘ではないだろう。ただし、いざ大会が始まれば、自分のことよりもチームの勝利が優先。メディアに「NBAスカウトを意識しているか」と問われても、「日本のバスケのためにやるのが日本代表で、そこから自分の評価がついてくる」と答えている。

 もともと八村は周囲を生かすことができる選手だが、こうしたチーム優先の考えがあるからこそ、大会直前の合流でもチームメイトとの融合ができたのだろう。今大会のプレーを見れば明白だが、八村はディフェンスこそインサイドにつくが、オフェンスでは優れた状況判断のもとでオールラウンドにプレーする。本人も大会を終えて「僕は将来的にインサイドでやるプレーヤーではない。サイズがあっても動ける選手になりたい」と発言しているが、この考えは高校時代から変わらないものだ。よりスケールの大きな選手に向かおうとしていることが、この大会で見えた。

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