U19W杯で歴代最高の10位。接戦の連続に日本バスケの未来が見えた (2ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 特筆すべきは、優勝したカナダに25点差で敗れた以外はすべてが接戦だったこと。決勝に進出したイタリアとベスト4のスペイン、9位決定戦のプエルトリコらの強豪国と対等に戦い、エジプトにはアウェーの洗礼を受けながらも延長を制し、韓国には11点のビハインドを負いながらも、4Qに30-6と圧倒して勝った。こうした粘りはA代表では、なかなか見ることができない。これまでの男子チームにはない底力をU19代表は発揮した大会となった。

 収穫は数えきれないほどあるが、大きな括りで言うとふたつ。ひとつは、チームワークを発揮するに至った準備の重要性を再確認したことだ。

 指揮官であるドイツ人のトーステン・ロイブルは大会を迎えるにあたり「この年代の海外選手はプロでプレーする選手がいる。日本の大学生はそのギャップに驚く」と懸念していた。そのため、昨年10月から月1回の強化合宿で選手選考を兼ねながら競争心を植え付け、チームケミストリーを高めてきた。6月上旬にはチェコU19代表を招集して国内で3ゲーム、大会直前にはドイツ遠征で2ゲーム戦い、"世界とのギャップ"を埋めることを目的として試合経験を積んだ。オフェンスではスピードとスペーシングを生かした攻めでボールをシェアしてシュートセレクションにこだわり、ディフェンスではオールコートのトラップディフェンスや、約束事を守るローテーションを徹底するなど、小さくても戦えるチーム作りを行なった。

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