無敵のNBA王者・ウォリアーズに忍び寄る
「スター軍団崩壊」の足音

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 第3戦、キャブスのリードで試合は進むも、残り45秒でウォリアーズが逆転して118-113。3連勝でシリーズに王手をかけると、カーHCはレブロンとアービング対策についてこう語った。

「特にディフェンスは変えていない。1試合を通して1on1で攻撃すれば、いずれ彼らも疲れる。だから選手には、『マークを外さずについていけば、最後には疲労がプレーに影響してくる』と伝えた」

 まさにウォリアーズの戦いぶりは、横綱相撲だった。

 崖っぷちに立たされたレブロン。だが彼は、「王朝の最盛期にあるチームと対戦するのは、俺の運命」とあきらめなかった。

 第4戦、そんなレブロンの気迫がチームにも伝播したか、キャブスが1ピリオドにおけるNBAファイナル史上最多の49得点を第1クォーターに叩き出し、待望の1勝を挙げる。しかし、昨季は1勝3敗から逆転優勝したキャブスをもってしても、今季の反撃はここまでだった。

 昨季のウォリアーズにはなく、今季のウォリアーズにあったもの。それは、誰の目にも明らか......デュラントの存在に他ならない。

 デュラントはシリーズ5試合で平均35.2得点・8.2リバウンド・5.4アシストを記録し、ファイナルMVPに輝いた。その受賞スピーチでデュラントは、「MVPよりも価値のあるものがある」と語った。そしてそれが、スター軍団でありながら、誰もが献身的にプレーをするウォリアーズの強さを物語っていた。

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