栃木がBリーグ初代王者に。
勝利を決めた田臥、そしてギブスのダイブ

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by (C)B.LEAGUE

 追いかける栃木が再逆転したのが、第4クォーター残り7分9秒。ここから、リードが入れ変わること9度の目まぐるしい展開に突入する。誰の目にも、チーム力の差は皆無、どちらのチームが勝ってもおかしくないと映ったはずだ。

 勝敗を分けたワンプレーがあるとしたら、82−79での残り59秒、栃木3点リードで迎えた川崎のプレーだ。ハイピックからファジーカスと辻にディフェンスの意識が向く瞬間、ゴール下に走り込むライアン・スパングラー(PF)にアリウープパスを出し、フィニッシュするようデザインされたセットオフェンス。これはレギュラーシーズン中、川崎が何度も決めてきたプレーだ。しかし、ノーマークになったスパングラーに篠山が送ったパスは大きく上方に外れ、栃木ファンが埋める客席に吸い込まれる。

 直後の栃木のオフェンス。残り38秒、田臥がプレッシャーをかける篠山を抜き去る。この試合、シュートタッチがよく自らシュートを選択することもできたが、田臥は冷静にファジーカスを釣りだしてから、ゴール下のジェフ・ギブス(PF/C)にパスを送った。ギブスが一瞬遅れたファジーカスのブロックを冷静にかわし、レイアップを沈めて84−79の5点差に。ここで、勝負あった。

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