NBA「パウvsマーク」のガソル兄弟対決。胸に去来する複雑な想い (3ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 この言葉だけ聞くと、余裕の発言のように聞こえるかもしれないが、マークの成長を誰よりも早くから認め、誰よりも誇りに思っていたのもパウだった。

「兄として、弟のことをとても誇りに思っている。彼はすごく努力して、称賛に値するだけのことをやってきた。彼はすばらしい選手になった」

 そんなふたりが今年、ついにプレーオフの舞台で対戦することになった。パウはウェストの第2シード、サンアントニオ・スパーズの控えセンターとして、マークはウェストの第7シード、グリズリーズのスターティングセンターとして、ウェスタン・カンファレンス1回戦で対戦したのだ。

 シリーズを前に、マークはこう言っていた。

「祖母の家の裏庭の勝負はいつも思い出している。今のほうがずっと多くの人たちが見て、ずっと大きなことをかけて戦っているけれどね。これが終わったとき、僕らのうち、どちらかひとりはみじめな気分になる。彼(パウ)のほうが年上で、子どものころはいつも僕より背が高かった。今度は僕の番だと思いたい」

 36歳とキャリア終盤に入ったパウは、昨年夏にフリーエージェントとなったとき、控えの役割を受け入れて優勝を狙えるスパーズに加入した。マークも、「スパーズならパウに合うんじゃないか」と勧めたという。

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