NBA「パウvsマーク」のガソル兄弟対決。胸に去来する複雑な想い (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 当時、グリズリーズの練習場で繰り広げられた兄弟の1対1の戦いは勝負になっていなかったと、周囲の関係者は振り返る。NBA入りする前から才能を認められ、ドラフト3位で指名されたパウに対して、マークは遅咲きだったのだ。結局、高校を卒業した後、マークは一度スペインに戻り、FCバルセロナなどリーガACB(スペインのトップリーグ)のチームで5シーズンを過ごしてからグリズリーズ入りした。

 パウが移籍したため、それからふたりは何度もNBAの試合で対戦してきた。お互いに勝ったり負けたりしながら、切磋琢磨し合った。これまで9シーズンの間、レギュラーシーズンでの対戦は24試合。チームの勝敗はパウのチーム(レイカーズ、ブルズ、スパーズ)が14勝、マークのチーム(グリズリーズ)が10勝。スタッツではパウが13.5得点・10リバウンド、マークが11.9得点・8.5リバウンドとほぼ互角。昨シーズンはオールスターで、パウがイーストのセンター、マークがウェストのセンターとして対戦している。

 兄のパウは言う。

「弟にはいつも、僕を倒せとハッパをかけてきた。子どものころはなかなかそういうわけにもいかなかったけれど、彼も大人になって、前よりはそのチャンスも出てきた」

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