バスケ歴4年でNBA→2年沈黙。ジョエル・エンビード、ついに覚醒! (3ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

 しかし、そこから実際にNBAのユニフォームを着るまでが長かった。ドラフト前に右足の舟状(しゅうじょう)骨を骨折して手術。76ersに入ったものの、試合に出られず練習もできないまま、1年目を傍観者として過ごした。ようやく復帰が近づいてきたと思ったら、予定どおりに回復していないことが判明し、2度目の手術。結局、丸2年、1試合も出ることができずに、チームが2年間で136回負けるのを外から見ているしかなかった。

 特に、最初の1年がつらかった。2014年10月、新しい土地での慣れないリハビリ生活をしていたエンビードのもとに、カメルーンで暮らしている13歳の弟が交通事故で命を落としたというニュースが飛び込んできたのだ。不運続きに落ち込み、バスケットボールにもハケ口が求めることもできなかったエンビードは、夜通し起きて昼間に寝る毎日を送り、自分でも「ヴァンパイアの生活をしていた」という。チームにいながら、孤独を感じていた。動けないために体重が増え、足への負担を減らすために体重管理をしようとするチームスタッフとの衝突もあった。

 リハビリ2年目は、1年目よりはスムーズに進んだ。スタッフが入れ替わり、エンビードと同じ故障を経験したジードルーナス・イルガウスカス(元クリーブランド・キャバリアーズなど/C)をエンビードのメンター(指導者・助言者)として迎え入れた。それでも、2年の年月は長かった。

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