バスケ歴4年でNBA→2年沈黙。ジョエル・エンビード、ついに覚醒!

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

「俺が"プロセス"だ」

 昨年秋、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers/C)は、そう宣言した。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

長いリハビリを経て今季大ブレイクした76ersのジョエル・エンビード長いリハビリを経て今季大ブレイクした76ersのジョエル・エンビード ライオンを殺したことがあるという作り話をしたり、ツイッターで女性シンガーのリアーナをデートに誘うなど、おちゃらけキャラが定着しているエンビードだけに、どれだけの人がこの言葉を真剣に受け止めたのかはわからない。

「プロセス(過程)」は76ersの前GM、サム・ヒンキーがひんぱんに口にしていた言葉だ。負け続きの長い低迷期を我慢し、それによって得た上位ドラフト指名選手たちを育てる――。それが、ヒンキー流のチーム再建術だった。76ersのファンに辛抱強さを説くための言葉だったが、周囲からは揶揄されることも多かった。結局、ヒンキーは昨シーズン途中にGM職を解雇されている。

 エンビードが"プロセス"を名乗ったのは、ドラフト直前に故障が判明した自分を全体3位で指名してくれたヒンキー前GMへの感謝の気持ちがあったのかもしれない。プロ入りからデビューまでかかった2年という長い年月で、エンビード自身がプロセスを経験したということもあっただろう。理由は何であれ、チームの現状をすべて受け入れるこの言葉で、エンビードは名実ともに76ersのリーダーになった。

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