田臥勇太、36歳の今も「NBAサンズでの、あのワンプレーを考える」 (5ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Sportiva

 たとえば能代時代、僕は3年連続3冠を取りました。でも、自分だけで達成したなんて感覚、一切ないんです。僕が入ったタイミングで、いい選手が揃っていてくれた。そこは、自分の力ではどうにもならない部分。いい先輩、いい同級生、いい後輩に恵まれて成し遂げた9度の優勝です。そして、その日々があったから、今につながっている」

 田臥は、「毎日、教えてもらうことばかりです」と、少し照れながら話す。

「NBA選手はもちろん、他の競技のアスリートのインタビューやコメントからも学ぶことは多いですし、それこそ小さな子の言葉のなかにもヒントがあったりするんです。この前、試合会場で『バスケットボールのどこが面白いですか?』って聞かれた子どもが、『シュートが入るのが楽しいです』『ドリブルするのがカッコいいです』って答えていたんです。そんな、すっごい純粋な声を聞いて、そうか、そうだよなって......。改めてバスケットボールの魅力を教えられたりもしますね」

 彼が発する言葉には、何が田臥勇太を田臥勇太たらしめているのか、その答えが散りばめられているようだった。

「僕は、バスケで絶対に負けたくないんです。昔からずっと。根本にあるのは、それだけだと思います。試合の勝敗はもちろんですけど、ひとりの選手としても負けたくない。選手個々の優劣や勝敗、何が勝ちで負けなのかって言ったら、それは誰かが決めることではなくて、自分が判断することだと思っていて。

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