田臥勇太、36歳の今も「NBAサンズでの、あのワンプレーを考える」 (2ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Sportiva

 現在、田臥は練習開始の1時間半から2時間前には、コートに姿を現す。入念にストレッチを繰り返し、練習に臨み、練習後のケアも誰よりも時間をかけ、つまり、誰よりも長く体育館にいる。

 なぜ、そこまでバスケットボールに生活を捧げることができるのか?

「ほんと、単純です。試合に出られないこと、練習に参加できないことが本当に嫌なんです。それは、実際にケガをしてわかったことで。プレーできないことが、どれだけつらいことか。とにかくバスケがしたい。そのためだったら......。それだけですね、本当に」

 通常なら十数秒で履くことができるバスケットシューズを、田臥は紐を緩めては締めてを繰り返し、15分近くかけて履く。まるで、何かの儀式のように。

「小指の骨が少し出ているんです。そこにギリギリ当たらない強さ、なおかつすべての指がシューズのなかでしっかり動く結びの強さがあるんです。ジャストフィットする強さを探しながら履くので、時間がかかってしまって。いつからの習慣か? いつからなんですかねえ。ときどき、僕も思うんです。『いつからこれ、やってんのかな?』って(笑)」

 専属のトレーナーをつけてトレーニングし、世界中にアンテナを張り、「身体にいい」「競技能力が向上する」と言われることがあれば、すぐに取り入れる。数年前、ジョージア大学の研究で「運動前にコーヒーを飲むと持久力が向上する」と発表されると、練習前にコーヒーを飲むのが日課になったこともあった。シューズのインソールは、NBA選手も通うロサンゼルスにあるショップでオーダーメイドしたものだ。バスケットボールのためになることは、すべてやらなければ気が済まない。

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