「トランプ大統領」の当選にNBA選手はどんな反応を示したのか (6ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

 これは、現NBAコミッショナーのアダム・シルバーの方針によるものも大きい。シルバー・コミッショナーは常々、相手に敬意をもったやり方でなら、選手たちが社会問題に対して意見を表明することに賛同すると公言している。

 また、『ESPN』によると、選挙の翌朝にシルバー・コミッショナーは、世界中にあるNBAオフィスで働く人たちに向けてメールを送り、NBAの核となる多様性と平等を大切にする価値観はこれからも変わらないと確約したという。それは、大統領選挙の結果、分断した国の状況を理解し、リーグとして選手たちとともに、その状況を向上させるために努力していこうという意思の表れだったという。

 スポーツ選手が公(おおやけ)に政治的な発言をすることを嫌う人たちもいる。しかし、プロリーグであっても、プロスポーツ選手やコーチであっても、社会と無縁の無菌室で暮らしているわけではない。大きな変化をもたらすことができなくても、声を出すことをあきらめずに行動し続け、よりよい世界にしたい――。そんな想いを持った選手やコーチたちがいる。それを禁止するどころか、むしろ推奨するコミッショナーがいる。NBAはそんな骨太の魅力的な組織だということを、改めて見せてくれた。

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