「トランプ大統領」の当選にNBA選手はどんな反応を示したのか (5ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

 私は金持ちの白人だ。そんな私でさえ、考えるだけで気持ち悪くなるんだ。今、ムスリム(イスラム教徒)の人たちがどんな気持ちでいることか。女性、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、ハンディキャップの人たち......彼らがどれだけ、公民権を取り上げられたような気持ちでいることか。

 また、そういったグループに所属しながら彼に投票した人たちは、どうやってすべて無視することができたのか理解できない。私の最終的な結論、そして私がとても恐れているのは、私たちが(分裂して滅亡した)ローマ帝国なのではないか、ということだ」

 NBA選手やコーチたちが声をあげるだけで、世の中が変わるわけではない。そのことは、オハイオ州育ちで、オハイオの人たちにとって長年の念願だった優勝をもたらした地元のスーパースター、レブロン・ジェームズがヒラリー・クリントン候補を応援し、選挙直前の応援演説に登場したにも関わらず、接戦州のオハイオをトランプが取ったことからもわかる。

 それでも、選手やコーチが自分たちの信念や思いをきちんと表明するような空気がNBAにあることは、今回の選挙で失望した人たちにとっては救いなのではないだろうか。

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