【Bリーグ】SR渋谷の壮大なる挑戦。若者の街にバスケは根付くか (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu


「こんな形で進んでいってくれるといいですね。青学大に対するイメージも上がって、いい大学だと思ってくれるとありがたいですね。渋谷、バスケット、日立、青学、これが一緒になって発展していけばいい。お互いが、それぞれ"ウイン・ウイン"の関係じゃないと、継続できませんから」

 人気と強化はチームの両輪である。ホーム開幕戦に向け、1964年の東京五輪のときに建てられた伝統の体育館に新しいコート床を付け、照明機器や音響設備を加えた。もちろんBリーグ開幕のときの東京・国立代々木競技場のようなLEDビジョンなどの派手な演出はない。簡素なイメージは拭えないが、それでも、ほぼ満員の「2624人」がスタンドを埋めた。観客席の最上段には立ち見も出た。

 観客席とコートが近く、臨場感はバッチリだった。「サンロッカーズ!」「サンロッカーズ!」。歓声と興奮。渋谷が終始、リードをしたこともあって、SR渋谷のチームカラーである黄色一色となった観客席もノリノリだった。唯一寂しいのは、大学の体育館ということもあって、売店でビール販売がないことか。(いや、裏を返せば、子どもや家族連れには安心なアリーナともいえる)。

 試合はSR渋谷の79-61の快勝だった。SR渋谷のキャプテン広瀬健太は青学大OBである。31歳。この日、攻守に活躍し、8得点、5スティールを記録した。「満員のお客さんを見て、すごく気持ちが高まりました」。試合後、笑いながら遠い昔を懐かしんだ。

「学生時代とは雰囲気が違いますね。ここは苦しい思い出しかない体育館なので......。ハハハ。もう練習がきつくて、監督も怖かった。特に下級生の時は、一番早く来て準備して、最後まで体育館に残っていました。ホント5、6時間ぐらい。トラウマじゃないですけど、それが出なくてよかったです」

 それはそうだ。プロチームのホームアリーナなのである。それなりの演出や舞台づくりはなされている。

「アリーナとして、やりやすいですね。お客さんとの一体感もありました。プレーしていて、気持ちがよかったです」

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