希望か、絶望か。Bリーグ開幕で
日本バスケの「明日」はどっちだ

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 中学や高校時代、バスケ部員だった人も多いだろう。一度は「日本にプロがあったら......」と考えたことはなかっただろうか? もし今もバスケが好きなら、NBAとBリーグのレベル差をしたり顔で友人や恋人や家族に語るより、地元にできたBリーグクラブの試合会場に足を運び、贔屓(ひいき)の選手を見つけ、声援やブーイングを送ったほうが、きっと楽しい。折茂が続ける。

「一足跳びにレベルを上げることはできない。NBAを見慣れた目の肥えたバスケファンをスキルで満足させるのは、今のレベルでは難しい。それが、Bリーグの偽(いつわ)らざる現在地です。それでも今、僕たちがプロとしてできるのは、泥臭くとも必死で懸命にプレーすることだけ。もしいいプレーをしたら声援を、不甲斐ないプレーをしたら、ためらわず罵声を浴びせてください。そのひと声がBリーグの、ひいては日本バスケの"明日"を照らします」

 9月12日に開催された「TIP OFFカンファレンス」。B1各クラブに所属する選手が1名ずつ出席した。イベント後、選手ごとに囲み取材が行なわれ、誰よりも報道陣が集まったのは、やはり田臥勇太(栃木ブレックス)だった。

 囲み取材の時間が終了し、報道陣が散っていく。ポツンとひとり残された田臥に、「いよいよですね」と声をかけると、落ち着いた声で、「はい」と返事が返ってきた。

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