メダルはなくても。日本女子バスケがリオで見せた「夢のような」輝き (2ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by JMPA

 ワールドクラスのビッグマンとのポジション争いは、格闘技の要素すら孕(はら)む。自分よりも大きな選手相手に体をぶつけポジションを譲らず、幾度となく肘を顔面や胸に浴びようとゴール下を死守。ふたりの献身、まさに自己犠牲がなければ、そもそも試合は体(てい)をなさなかっただろう。オフェンスではさほど目立たなくとも、間違いなく間宮、髙田が、アカツキファイブの背骨だった。

 栗原三佳、本川紗奈生は2枚の翼だ。この両翼が、チームに躍動感を与えた。

 経験者ならわかるはず。懸命に守っての失点は、コートに視線を落としたくもなる。ふたりは、そんなコンマ数秒の時間すら惜しんで走り出した。失点、もしくはマイボールになった瞬間、既にコーナーを目掛けて全力で走り出している。PGの吉田からのパスが来ると信じて。もちろん、そのランの多くは徒労に終わる。しかし、その献身的なムダ走りのおかげで、相手チームは体力を削られ、さらにはマークマンのズレが生じ、日本のオフェンスが有利に展開できる足がかりとなる。アメリカ代表のエンジェル・マコートリーも、「コートの端から端まで日本の選手を追いかけるのは、本当に大変だった」と試合後に語っている。

 そして、やはりチームの2枚看板、吉田と渡嘉敷の存在なくしてアカツキファイブは語ることはできない。

 吉田は1試合のアシストが平均8.7本でランキングトップで、アシスト王に輝いた。渡嘉敷の平均17.0得点はランキング3位、平均6.3リバウンドは10位にランクインしている。

 各国のエースと遜色ない輝きを放ったふたりで行なうピック&ロールは、まさに教科書に載せたくなるほど基本に忠実かつ鮮やかだった。

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