【国内バスケ】選手兼社長となった折茂武彦が「初めて頭を下げた日」 (6ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

「レバンガ北海道を運営するのは、株式会社北海道バスケットボールクラブです。僕は、その会社の代表ということになっていますが、レバンガ北海道は僕のチームではありません。みなさんのチームです。思うことを、希望を、不満を伝えてください。みなさんで、いいチームにしていきましょう」

 折茂が中学からバスケを始めた理由は、それまでしていた野球を続ける場合、強制される坊主頭が嫌だったからにすぎない。そんな中学生が、日本を代表する選手となり、北海道のプロチームを存続させるために尽力することとなる。「いやー、人生ってわからない」と折茂は笑うが、誇らしさもにじむ。

 移籍当初、折茂は、「北海道にきてくれてありがとうございます」と声をかけられた後、必ずと言っていいほど、「でも、いつか戻ってしまうんですよね」と言われ続けたという。そのたびに、「いやいやいや、ずっといたいです」と答えた。

「ようやく5年くらいかな。『戻ってしまうんですよね?』とは聞かれなくなって。なんか、本当の仲間に入れてもらえたような気がしたんです。北海道には僕を、チームを、ずっと支えてきてくれた人がいる。直接的に、間接的に、僕はいつも誰かに助けてもらった。そんな人たちとの出会いとつながりが、僕の財産です。貯金はないんですけどね(笑)」

(最終章に続く)

【profile】
折茂武彦(おりも・たけひこ)
1970年5月14日生まれ、埼玉県出身。レバンガ北海道所属。埼玉栄高校から日本大学へと進学し、1993年にトヨタ自動車に入社。2007年、新設されたレラカムイ北海道に移籍するも、運営会社の撤退などにより新チーム「レバンガ北海道」を自ら創設。国内プロ団体球技で異例の「選手兼オーナー」となる。日本代表としては1994年・広島アジア大会や1998年・世界選手権など数々の国際大会を経験し、正確なスリーポイントシュートは現在も国内トップレベル。シューティングガード。190cm・77kg。

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