【国内バスケ】若かりし折茂武彦。「ファンを完全にシカトしてた」 (5ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • TOBI●撮影 photo by TOBI

「割とすぐに気づきましたね。『なんか入るな』というか、『なんで入るんだろう?』って感覚というか」

 作り話のようだが、折茂は部屋の片隅から丸めた紙クズをゴミ箱に投げると、ほとんど一発で入ると言う。

「ほとんど入りますよ。まれに外しても、間違いなく次は入る。2回も3回も外してる人を見ると、『だから、もっと強く投げろって!』とか、心のなかで思っちゃう(笑)」

 折茂のシュート力に関し、都市伝説のように囁(ささや)かれていることがある。

 折茂武彦は、シュート練習をしない――。

 事実なら、シュートが入るかどうかは生まれ持ったセンス。努力では如何ともしがたいということになる。本人にウワサ話をぶつけると、半分は本当で、半分は嘘だった。

「たしかにシュート練習をしてると、チームメイトに、『珍しい!』って言われますね(笑)。もちろん僕も、とにかく毎日すごい本数を打っていたときもあったんです。でも、本数を打てばいいってもんじゃないってことにたどり着いたんです。

 さっきのゴミを投げても2本目は外さないって話じゃないですけど、どんなシューターだって毎日微妙にタッチは異なるんです。それを修正するのは、調整力というか、意識の問題。だったら、なぜ外れたか、どうすれば次は入るか、感覚を研ぎ澄まして微調整しながらシュート練習をしなければ、シュート力は向上しない。

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